小学校付き添い編⑨「オヤジの夢」

私には、自分の子どもが生まれたときからの夢があった。

それは、息子が小学校に通うようになったときに実現する夢だった。

その夢とは私の長年来の友人の会社が作成し、広島市の小学校現場で使用している『社会科 学習のてびき』で学んでほしいというものだった。

実は、この『てびき』私も小学生のときに使用していて、広島の歴史や地理を学ぶには最適なロングラン教材なのである。そのときから表紙や形状が変わっていないレトロ感満載のものであり(もちろん中身は時代に応じてバージョンアップされているだろうが)、したがって広島で『地域の小学校』で学んだ人なら、ほとんどの人の共通の思い出となりうるものなのだ。

その友人は教材運搬や集金などで県内各所の小学校を巡回している。当然、息子の小学校にも数か月に一度くらいはやってくるわけで、私や妻が、付き添いをしているときに、顔を合わすこともあった。

日中の仕事姿の彼は、家でたわいもない話をしながら、酒を酌み交わす普段の彼とはちがって見えたものだ。友人も「一日中空き教室にいるのか?退屈だろう、寒くないか(暑くないか)、大丈夫か」と驚き、心配してくれたものだ。

 息子も校内でこの友人と出会うことがあり、「何でボクの学校にいるの??」と不思議そうな顔をしていた。そんな息子も3年生になったとき『てびき』を配布され、同級生とともにその内容を学び、私の夢をかなえてくれた。

また、この時期、妻は毎日学校に待機を余儀なくされているわけであり、来客などがあっても普通に家で応対ができないという現実もあった。そこで、妻は取材(たまに大学の先生や学生さんからのインタビューなどに応じていた)や交渉事などあれば、先方に家ではなく学校に出向いてもらい、学校の一部屋で面会をしていた。そんななかで、医療的ケア児の親であることが理由となっている、なんとも不当というか、差別的ともいえる付き添いの状況を知ってもらおうとしていた。

 

 このような付き添い生活が続く中、学校現場のハード面で変化が起きてきた。

詳しくは次回のつぶやきをお待ちください。