小学校付き添い編⑤「無限軌道再び」

ずいぶん前このつぶやき(2年前の5月27日)で「無限軌道と馬車馬」というタイトルで書いたこともあったのだが、なんと息子の学校に無限軌道がやって来た。その名は、階段昇降車。

 

当時学校にはエレベーターはなく、車いすの人が上の階へ行くときには大人数で担いで上がるしかなかった。その事実を知った時、息子が2歳の頃に沖縄の首里城に行った時に乗った階段昇降機があればいいのにと思った。だが、階段昇降機も合計4か所ある階段すべてに設置できれば良いがそうもいかない。1か所だけの利用となると、どうしても自由度が下がる。その不自由さをカバーするのが、階段昇降車なのだ。

 

階段昇降車を初めて見たとき、キャタピラが付いた駆動部分やフォルムからガンダムに出てくる「ガンタンク」みたいだと感動したものだった。ガンタンクいや階段昇降車は階段の段差をラクラクと上がっていく。ラクラクだからサクサクと上がっていくかと言うと、残念ながらそうはなっていない。また、構造上仕方ないのだが思った以上に振動もある。エレベーターやリフトと比べると当然ながらセットから到着まで時間がかかってしまう。

そして、学校生活での難点は、息子が昇降している間は安全のため、他の児童は階段を使うことができなくなってしまうこと。息子と息子の車いすは昇降車に乗せることができたが、身体的に揺れや振動に耐えられない人や、サイズ的に乗せらない車いすやストレッチャーがあることだ。これは仕方がないといって済むような問題ではない。同じ施設内で一方は昇降車に乗れる、一方は乗れないといったことがあってはならない。

私は何も階段昇降車を誹謗・中傷する気など全くない。むしろ、このマシンがあることによって構造上エレベーターがつけられない建物などではとても有用だと認識している。

 

先に書いたことから、学校などの施設では対象となる児童・生徒がいる場合はもちろん、入学希望者がいる場合にもエレベーターを設置することが望まれる。エレベーターがないことで住む地域の学区とは別の学区の学校を選んだり、ましてや選ばせたりすることは間違っている。

千葉市では、行政と「千葉市地域で生きる会」が中心となって調査し、小中学校でエレベーターが必要な児童・生徒がいる場合は入学前からでも設置に向けて取り組んでいる。このような先進的な取り組みがある一方、「予算がない」「後付けできない」などと理由を並べ、人力で3階まで昇り降りしている学校もある。この地域間の差は一体どこから来るのだろうと思わずにはいられない。

 

息子も入学時には、エレベーターの設置については何も決まっていなかった。