息子は幼稚園入園1週間後と同じように体調を崩してしまった。
病院に連れて行った妻によると、息子は明らかに体調を崩しているのに、学校を休みたくない、病院に行きたくない素振りをし、はては医師にも目をキラキラさせて「まったくしんどくありません!家に帰ります!学校行かないと!」と強いアピールをしたらしい。血液検査の結果を見た医師が「う~ん、行きたい気持ちは先生もわかるけどねえ・・・、これは、ちょっとさすがに入院だね」と、頭をぽんぽんされて宣告されると、一気にしおれてしまい、急激に病人の顔になってしまったそうだ。
やはり急激な環境の変化は、周囲が思う以上に本人に緊張を強いるのか。しかし、それ以上に、息子の学校へ行きたい!という主張が、まわりの誰にでもわかったということは、おもいがけない成長でもあった。ともかく、できるだけ早く回復してくれることを願った。
幸い、1週間の入院で学校へ復帰したが、親としては、「すぐに体調を崩す子だ」と周囲に思われるのは嫌だなと感じていた。しかし、この思いは完全に杞憂だった。それから息子は入院することなく元気に学校生活を送っている。
4月下旬、待ちに待った看護師さんが2名配置された。妻から看護師さんの息子に対する様子を聞いて安心したと同時に、よくぞ学校看護師という希少で前例の少ない職場に来てくださったと感謝の気持ちでいっぱいだった。後にバクバクの会の会報誌に~未知の世界へお引越し~という表題で手記を寄稿いただいたのだが、当時の悪戦苦闘の様子が記されている。志のある方々によって息子の医療的ケア体制が整った。
学校看護師の仕事については、大阪府教育庁のリーフレット『学校で働く看護師~公立小中学校での医療的ケア~』に詳しく書かれている。だが、全国的に学校看護師のなり手が少ないのが実情だ。学校看護師が世間に知られるよう行政ともどもPRしていく必要があると感じている。
そして、最大の難関である親の学校への付き添い解消に向けて取り組みを開始していくことになった。