幼稚園死闘編最終回「卒園式」

息子の幼稚園入園から怒涛のように月日は流れ、卒園式の日がやって来た。

あの入園闘争から2年、長かった思いと瞬く間だったという思いが交錯する。

義務教育ではないことと幼稚園に看護師配置がないため、常時保護者の付き添いが

求められた。しかし息子はクラスメイトと初めて集団生活を送り、様々な行事を経験して大きく成長できていると実感した。『ワニなつブックレット②就学相談いろはかるた2019版さとうよういち編著』に「大人がどんなにがんばっても、友だちのかわりはできません」ということばがある。まさに我が家はそのことを実感した。幼稚園に通って息子がつくった世界は大人にはつくることのできないものだった。

 

息子は晴れがましい顔をして、卒園証書を受け取り、人生初の在籍証明を手にした。

記念写真もニコニコの笑顔だった。幼稚園に通わせて本当に良かったと家族全員でそう思った。

 

小学校入学前の春、制服を注文したり、通学路を歩いて確認したり、持ち物に名前を書くなど(膨大な数のさんすうセット。あれは苦行である)準備をした。そんな中、息子に真新しいランドセルを背負わせてみた。今は空っぽのランドセルだが、これからいろんなものが入ってくる。その時に励みになるのが、息子という呼吸器ユーザーとともに育った仲間たちだ。彼らは知っている。世の中には医療的ケアを必要とする人間がいることを。適切な配慮があれば一緒に生活できることを。

 

新たに迎える小学校生活に、胸を躍らせる我々家族だったが・・・

 

次回から新章「小学校編(仮)」がスタートします。