幼稚園死闘編⑦「ばら色の幼稚園生活」

ばら組になって幼稚園生活をスタートさせた息子には、バラ色の毎日が待っていると期待していた。入園した週と次の週は、午前中の登園と体調を整える休みを入れながら通園した。しかし、慎重を期していたにもかかわらず2週目の週末になると気道内圧、脈拍ともに高くなり、日曜日だったが病院を受診すると即入院の宣告を受ける。

 

そんな風に入園して1週間の入院はしたが、幼稚園最初の4月場所の星取表は白星(出席)7・黒星(欠席)8でまずまずの成績を残して少し安心もした。

続く5月場所は白星12黒星9で勝ち越し、6月場所も白星13黒星6で二場所連続の勝ち越しとなった。

 

7月にもまた体調不良のために1週間入院した。結果的に夏までに二回入院した。去年秋から入園直前まで半年間もゴタゴタが続き、これまで温室育ちの箱入り息子だったのが、未知の世界である幼稚園にほぼ毎日登園し、いろいろな刺激を受けて帰ってくる。息子からすると、環境の変化が大きく心も体もびっくりしたに違いないと思った。息子の人生でこれからも何度も訪れるであろう大きな環境の変化を、人並みに体験することができたのは、ちゃんと正式入園をしてばら組になったからだと思えた。

 

最初私は、自分の息子がクラスの中で抜きんでて休んでいるのかなと思っていたが、妻によるとまわりの子どもたちもそこそこ休んでいるとのことだった。幼稚園から小学校低学年くらいの子どもは、その年頃の子と関わりのない人からすると、想像以上に、よく体調を崩し、よく休む。これは、地域の幼稚園に息子が入園したことで新たに発見し、実感したことであった。

 

よく地域の幼稚園・保育園・小学校を諦めさせようとして、行政・教育委員会が使う言い分として「お子さんのペースで通うには、それ相応の環境(療育園や支援学校など)がいいのでは?」というものがある。しかし、そんなことはない。どんな環境であれ、その子自身の体調に合わせて、通園・通学するのは、呼吸器をつけた子や障害のある子に限らず、健常児でもごく当たり前のことである。

 

そして、息子はこの二回の入院で、完全にペースを掴んだらしく、その後はなんと卒園までの2年間、大きな体調の崩れはなく入院もせずに「ばら色」の幼稚園生活を送ることができた。