デンマーク生まれの力士 青龍 赤龍Ⅱ

車いすのタイプも決まり、医師の意見書も出来あがったので、オヤジの重要な仕事でもある役所への申請へ平日休みの貴重な時間を使って出かけた。まぁ書類もそろっているしチャッチャと終るだろうくらいの軽い気持ちで行ったのだが、窓口で書類を提出すると、途端に雲行きが怪しくなってきた。

 

担当者曰く、「車いすはわかりますが、この座位保持車いすはなんですか?」オヤジ「室内で利用するものです」担当者「車いすが2台も必要ですか?だいたいうちの区では2台同時なんて前例がありませんよ」オヤジ「え?外で使う車いすを室内では使いませんよ。座面が上下動できないし、そもそも医師が必要と認めているものですよ!」これはほんの一部だが、不毛なやりとりが続いた。今思えば、あんたは室内スリッパで外出するのですか?と言ってやれば良かったと思うくらいである。

 

役場はなんでもかんでも前例ありきである。前例がなければ動けないのか。すべてのことになんでも「初めてのケース」があることを知らないらしい。何とか押し切ったが、行政との交渉に不慣れな人は心が折れてしまい、申請を変更してしまうのではなかろうか?この何年か後に、我が家でも、妻が役場と吸引器(耐用年数が超えたため再申請時)をめぐるイザコザがまたも発生した。

 

こういった申請についてはほとんどが初めてのことであり、行政側の仕組みもわからないことが多々ある。制度は一般の人間にとって、非常に難解で複雑な仕組みになっている。そのため、どれだけのエネルギーを使って書類を作成しているのか、ということを役場の人間は忖度して、もっと当事者に寄り添った対応をしてほしい。

 

しかし、こうしてやっと青龍・赤龍が我が家の一員となった。

 

青龍は家の中で、息子の家庭学習(主に学校の宿題)を、赤龍は外の世界でそれぞれ生活を支えてくれている。ともに机を差し込めるので、便利であった。

 

そして赤龍は息子に様々な体験を与えてくれて2017年に引退し、イタリアうまれのアズーロ号が引き継いでいる。