手術を終えて、呼吸器とパイプをつけた息子が病室に戻ってきた。呼吸器から送り出される空気の音が思っていたよりも大きかった。
生きている証の音だと思った。
麻酔から醒めた息子は、顔色もよく、私と妻の顔を見つけて ニコっと笑った。嬉しかった。救われた気がした。
ずっと後になって、ALS患者の三保さん(広島在住の現役歯科医・アクティブ親父)が手記の中で、『人工呼吸器を装着して約10ヶ月がたつが、私の人工呼吸器ライフはそれまでの心配が嘘のように快適なもので、自分でも感じる程にエネルギーに満ち溢れている。同期の内科医の何人かが「人工呼吸器を装着すると地獄のような暮らしだぞ。」 と私に忠告したものだが、そんなことはない。 人工呼吸器を装着してからというもの、病状の進行はピタリと止まった。 いや、むしろ好転したと感じる。 誤嚥が怖くて諦めていた食事に再挑戦したり、諦めていたお洒落を楽しんだり、すべての面で「復活」した』と書いておられるのを読み、 あの時の選択は間違っていなかったと実感した。(JALSのHPより引用 ぜひ全文お読みいただきたい http://alsjapan.org/2016/11/15/post-673/)
息子はグングン元気になっていった。パイプからエネルギーを得ている点は、『ガンダム』に出てくるザクみたいでいいじゃないか、けっこうかっこいいぞと個人的に思っていた。